「先生、五十肩になってしまって・・・」と来院される方でも、お身体を診ていくと五十肩ではない人もいます。思い込みや、間違った見解で治りが遅くなることがありますので、どのようなものが多いのか見ていこうと思います。

上腕二頭筋長頭腱炎

上腕二頭筋とは肘を曲げた時にできる力こぶの筋肉のことをいいます。この筋肉は肩の前側についてくる筋肉で、肩が痛い場所として「前側の肩が痛い」と訴えて来られる方は疑った方がいいですね。肩が上がらなくなるというところでは、同じような症状ですがアプローチの仕方は大きく変わります。

見分け方として、力こぶを反対の手でつかんであげて、肩が上がるor痛みに変化があるようでしたら上腕二頭筋腱炎の治療をすることによって痛みが楽になっていくでしょう。

腱板断裂

腱板断裂とは、肩を安定化させているインナーマッスルを腱板と呼びます。この腱板が切れてしまっていることを腱板断裂と言います。

腱板断裂は、何回も肩を上げたり下げたりすることによって、骨との摩擦により断裂することがあります。通常では摩擦で切れるなんてことはありませんが、肩の位置がズレてしまっていたりすることによって摩擦の頻度が多くなってしまいます。

腱板断裂をする方の特徴は

  • 60代以上
  • 上げた肩を下すときに痛い
  • 断裂しているところに凹みがある

これらに当てはまる時は五十肩より腱板断裂の疑いが大きいです

肩峰下インピンジメント

インピンジメントとは、「挟まれる」ことを言い、肩峰下(肩の隙間)で組織が挟み込まれていることを肩峰下インピンジメントと呼ばれています。これは腕をあげていくときに60~120度の角度で痛みがある時によく見られます。痛みはあっても上まで肩をあげることが出来るので、五十肩と区別はつきやすいです。

インピンジメントは腕を上げていくときの背骨-肩甲骨-上腕の連動が出来ていない時に起こります。背骨なのか、肩甲骨なのか、上腕なのかどこでトラブルが起きているのかを突き止め、治療していけば早期に改善が可能です。